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地元の駅に着いたアナウンスが流れ、俺は電車を降りて改札を通り抜け駅の外へと出る。懐かしい雰囲気を残しながら、やっぱり所々が変わっていた。
一度実家へと帰ると、甥っ子姪っ子が駆け寄ってくる。俺の3つ上の兄の子供たちだ。俺が独身のまま口うるさく言われないのは兄のおかげだろう。
「律兄ちゃん、おかえり~」
「律兄、おみやげは?」
「こら!マサ!おみやげじゃなくておかえりでしょ!?ごめんね~。本当に図々しいったら。律朔君、おかえり。」
「ただいまです。これ、おみやげ。」
「あー!ママずるい!僕が開ける~!」
「マサ!全部食べちゃダメ!みんなで分けて!律朔君、今日同窓会よね?何時から?お昼は家で食べる?それとも友達と約束しちゃった?」
「今のところ誰からも連絡はないですね。」
実家には時々帰ってきてはいるものの、地元の友達には誰にも知らせず、平日休みの俺とは休みが合わないだろうと勝手に思い込み、ただ実家に顔を出す程度を毎年繰り返してきた。
もう少し待って誰からも連絡がなければ、お昼をみんなと一緒に用意すると、義理の姉は言ってから子供たちを追いかけていく。
俺は一応残されている部屋に行き荷物を置いて、床に座って一息をついた。携帯を開くと、電車に乗るために音を消していて気づかなかったのか、いくつかの着信があることに気づく。一番最初に着信のあった元クラスメイトの友人へと電話をかけると、今すぐ出てこいと言われ、そのことを義姉に伝えるとやっぱりという表情をして、いってらっしゃいと言われてしまった。
友人から指定されたファミレスへと行くと、そこには元クラスメイト数人が集まっている。全員が俺に着信を入れてきた友人だった。俺がよくつるんでいた奴らではあるが、みんなして金曜に休みをとったのかと項垂れる。
「律!お前な、たまには帰って来いよ!」
「みんな心配してたんだからな?」
「律くらいじゃね?俺らの中で地元離れて暮らしてんの。今度お前んとこ遊び行くからな!」
「遊びっていっても律のいるとこ遊べるような場所あまりなかったぞ?」
「はぁ?敏!お前いつの間に遊び行ってたんだよ!」
「俺休みが平日だから律と休み合わせやすいんだ。先月も飲みに行った。」
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