君からの贈り物

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勝手に話が進んでいるが、俺は空いている席に座って内心ため息をつく。結局昼食はみんなと一緒に摂ることになり、そのまま同窓会に行くことになってしまった。 会場に向かいながらも気が重くなっていくのを顔に出さない様にするのが精いっぱい。居酒屋の中に入ると、まだ誰も来ていなくて予約してあることを告げると、部屋へと案内してくれた。 広めの部屋を見る限りもしかすると全員集まるのではと思い始める。適当な場所に座って灰皿が置かれていることに気づき、煙草に火をつけてその場でみんなが集まるのを待つことにした。 少しすると幹事となっている水岸が部屋に入ってくる。俺がいることを確認したらしく視線が合うとホッとしたような表情になった。そんなにも俺は信用性がないのだろうか。確かに同窓会に顔を出したのは10年の間、今日が初めてだ。 ぽつりぽつりと集まり始め、俺の隣が入れ替わったことに気づき、横を見ると綺麗な男が座っている。面影があった。見間違えるはずがない。 「扇・・・?」 「うん。律、久しぶり。」 「久しぶり。」 心臓がもの凄い勢いで動き始め、まともに会話が出来ているのかも不安になる。綺麗な顔、透き通る声、身体の細いライン。あのまま、少し大人びた扇がそこにいた。 笑顔を向けられると皿に心臓は動く勢いが増し、俺もなんとか笑顔を向け続ける。 全員が集まったことを確認した水岸が、酒を注文して届くと、一言述べた後に乾杯と言って、全員が酒を口にした。 「律、俺があげた袋の中身だけど・・・。」 「うん?」 「ちゃんと見た?」 「───ごめん。まだ見れてない。」 俺は嘘をつけないらしく、正直に答えてしまった。扇の顔が見れない。あの頃を思い出してしまう。それでも、どうにか乗り越えなければならないだろう。 扇も、こうして俺に話しかけて来るということは、もう俺とのあの出来事を過去のことにしたということだから。 「そっか。律、番号もアドレスも変わってない?」 「変わってないはず。」 俺がそういうと隣で携帯を操作し始めた扇が俺を肘でつついた。直後に俺のマナーモードにしている携帯がポケットで震えていることに気づく。
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