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秋になった。 俺はここぞとばかりに読書に励む。 まぁ普段から読書に耽っているが。 目の前の馬鹿はどうも食欲の秋らしい。 短い秋の間に豚にでもなるつもりか、馬鹿。 そう言ってやった。 するとその馬鹿は。 良いの良いの。後でちゃんと運動するんだから。 だそうだ。 今までろくに運動もしなかった奴がよく言う。 どうせ、寒い、とか言ってすぐに止めるさ。 そうは思ったが。 運動するならちゃんと準備運動しろよ。 怪我でもされたら迷惑だ。皺寄せがこっちに来るんだからな。 と、注意を促してやる。 その馬鹿はニヤついた顔で。 その言葉、そっくり返すよ。 などと意味不明な事を言う。 おいこの馬鹿。何を企んでやがる。 聞くと。 馬鹿はニヤついた顔で。 松茸狩りだよ松茸狩り。 結局食うために運動するのかこの馬鹿は。 というか。 は?俺も付き合わされるのか? 馬鹿は満面の笑みで。 勿論。秋は運動と食欲の季節なんだから。 …俺の読書の秋は、松茸(と馬鹿)に敗北したようだ。 当の馬鹿はすっかり。 松茸、松茸~。 とはしゃいでいるが。 楽しそうで何よりだ。
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