愛写(あいしゃ)

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私は意識を集中しながら、ポラロイドカメラのスイッチを押した。 カシャッ! たちまちカメラの上部からフィルムが出てきた。 現像された写真を手渡すと、 「何度見てもスゴイスゴイ!」 女子学生が満月のように目を丸くしてはしゃいだ。 その写真には、目の前にすわる女子学生に寄り添うように、ひとりの若い男性が写っていた。 もちろん、この部屋には私と彼女しかいない。 「彼との距離が近いから、きっと仲良くなれるわね」 「これってゼッタイ超能力だよね。アイシャ先生がテレビに出れば、美人だからゼッタイ売れるのに」 「はいはい。そんなことしなくても稼いでいるから心配しないで」 「アイシャ先生の『愛写(あいしゃ)』にいつも感謝してます!」 女子学生はルンルンで帰っていった。 どうせまた違う男を見つけて、いつものように恋愛占いに来るだろう。 ひとりで苦笑していたら、先の常連客が言った言葉が頭をよぎる。 「超能力……マスコミか……」 冗談じゃない。マスコミに持ちあげられて、幾人の占い師が身を滅ぼしたか。
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