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それが占い師ならまだマシだ。霊能力とか超能力と看板を掲げようものなら、その末路は悲惨なものでしかない。
私は恋愛専門の占い師をなりわいとしている。
だが軽い恋愛占いは隠れみのだ。
時々だが気を許せる常連客にだけ、秘密にしている超能力を使うことがある。
先ほどの『愛写(あいしゃ)』がそれだ。
有名な超能力に『念写(ねんしゃ)』と呼ばれるものがある。
通常であれば撮影されないものを念の力によって写真に写し出す超能力のことだ。
私の念写は恋愛専門の超能力で、対象の人物と恋愛関係を結ぶ相手が写るのだ。
霊能力占いに比べて料金は安いが、それなりの生活はしていける。
それよりも恋愛する女性の助けになりたいのだ。
ところが人の恋愛ばかり聞くと、いささか疲れるのも事実である。
「真実の愛は幽霊のようなもの……誰もがそれについて話をするが、それを見た人はほとんどいない」
陽光のかけらが蝶のように舞う部屋で、つらつらとわが身の境遇を呪っていると、次の客が訪ねてきた。
(これは……)
入ってきた客を見て、思わず心でうめいた。
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