愛写(あいしゃ)

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女性に抱かれるイケメンの男性。一見なんの変哲もない構図だ。 だがしかし、男性の腕の骨が剥きだしになっているのだ。 そればかりか男性の下半身まで、肉も内臓もない背骨だけが写っていた。 女性が連行された数日後、愛写に写った男性を殺害した容疑で再逮捕された。 男性の死体は死後1週間で、骨だけと化していた。 あのとき女性が噛んでいたのは、殺害した男性の小指の骨だった。 「また人に見せられない愛写が増えたわね」 愛は死よりも強く、死の恐怖より強い。 だから女はときとして、死を越えて愛に走るのだ。 私は愛の恐怖が詰まったアルバムをそっと閉じた。 ──愛写(あいしゃ) 終。
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