16人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな、ある日の事です。
Yは、自分の部屋の棚に仕舞い込んであった中学時代の卒業アルバムに、たまたま目が止まりました。
そして、何気なく中を開いて…
「わぁ。懐かしいな!」
と、時間を忘れて見入っていたそうです。
見入っているうちに…
「そう言えば…
Aは、あれから見付かったんだろうか…」
と、炊事遠足で行方不明になったA君の事を思い出しました。
やがて…
Yは、クラスの全体写真が載っている卒業アルバムのページを開きました。
懐かしいクラスメイト全員の姿が写っています。
「本当に…懐かしいな……」
と…
「え…」
Yは…
言葉を失いました。
クラスの全体写真の中に写っている…
行方不明になったA君の…
『両目』だけが…
『真っ白』…
だったそうです。
『黒目』が、全く無い…
『白目』だけの状態………。
あたかも…
『溺れて、白目をむいている』かの様に…。
「……………」
その時…Yは、
「ああ…。たぶんAは…もう、この世には、いない………」
と、直感的に思ったそうです。
『パタン』
Yは、黙って卒業アルバムを閉じると、元に有った棚に仕舞いました。
それ以来…
Yは、中学校の卒業アルバムだけは、開いていないそうです。
後日…
Yが確認してみたところ…
やはり、A君は亡くなっていたそうです。
最初のコメントを投稿しよう!