本屋さんとインチキ

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 戻ったお金と合わせると総額三十万、信じられない大金にゆうなは目を回す。 「そのお金で久々に贅沢しちゃいなさいな」  読子に言われるがままゆうなは盆明けから旅行に出かけた。両親を連れての温泉旅行、久々の安息にゆうなは終始心穏やかに旅を楽しむ。 「やっぱりそれはインチキだね。読子ちゃんよりあたしの方が仕事で使う機会が多そうじゃない」 「そう言われても、ヒカルちゃんがはめても作動しないじゃない」 「たぶん先代がなにかやったせいなんだろうけど悔しいわ」  ゆうなが両親との旅行を楽しんでいる頃、人魚書店では自分では使えないインチキじみた力を持つアーティファクトをヒカルが羨ましがっていた。  なぜこのアーティファクトが読子にしか扱えないのか。そんなことは二人も知らなかった。
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