本屋さんとインチキ

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 見るからに美味しそうで、かつお高そうな鰻重にゆうなは尻込む。だが読子としては遠慮なんていらなかった。 「大丈夫、バイト代から天引きなんて言わないから。最近ごはんもちゃんと食べていないようだし、ボーナス代わりに奢ってあげるから」 「店長……」 「これを食べて、何を隠しているかお姉さんに白状しちゃいなさい」  ゆうなは空腹と読子の優しさに負けて頷いた。  そして鰻重に箸をつけて数分後、女の子とは思えないほどの早食いでゆうなはそれを間食していた。  顔には精気が戻って唇についた鰻の脂がグロスのように艶めかしい。その姿を見て読子も微笑む。 「───これは鰻重のお礼として教えるだけです。お涙頂戴でお金をせびっているわけじゃありませんから」 「そんな心配はいらないわよ」 「では───」  ゆうなの話を聞いて読子は腹を立てた。  彼女が大学に入る際に用立てした入学金がスジモノからの借金で、その利息を請求されていると言うのだ。  ゆうなの両親は貸出人をカタギだと思っており僅かな利子を含めて返済していたつもりだという。だが今になってゆうなに不足した利子を突きつけてきたというのだ。  その額月に七万円。あと三カ月、合計半年で完済だという。  詐欺の臭いがプンプンと漂っているが彼らの持つ借用書には両親のサインと印鑑が押してある。     
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