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長い夏休みが終わり、絵莉子は再び寮の廊下を歩いていた。 寮に帰る前に一応薫に連絡を入れたら、薫はすでに寮に戻っているということであった。同居人との久々の再会に心が躍る。 「ただいまー…」 妙に緊張する、そう思いながらドアを開ける。中には、Tシャツにステテコ姿の、拍子抜けするほどラフな格好の薫がいた。見慣れた服装ではあったのだが、夏休み前とあまりにも変わらない。 「おかえり」 薫はあっさりとした様子で出迎える。ほぼ2ヶ月ぶりの再会をものともしていない。 「薫ちゃん元気だった?」 「ふつうだよ」 「ふつうって…もっとこう、なんかないの!? 2ヶ月ぶり感動の再会は…」 「感動も何も…また同じような生活に戻っただけなんだから」 「うう…クールすぎる…」 絵莉子はいじけた顔を作った。薫は口の端を上げ「ふっ」と鼻で笑ったが、独り言のようにぽつりとつぶやいた。 「でも、こうやって帰ってくる人がいるのもいいもんだね」 「えっ…うわぁ、レアな薫ちゃんが出た」 絵莉子はますます追及しようとしたが、躱されてしまった。しかし、絵莉子の胸にはじんわりとした多幸感が広がるのであった。
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