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「あのぉ…薫、さん…」 絵莉子がおずおずと切り出すと、読書をしていた薫は本から顔を上げ、「どうしたの?」と問う。 「薫さんは…学祭に来ますか」 「まだ決めてない。…なんで敬語なの?」 「お願い事があって…もし良かったら、私のサークルでラーメン売ってるから、その…食べにきてくれないかなーって」 「いいよ」 「えっ、あ、ありがとう!」 (うわぁ、えらくあっさり) 絵莉子は拍子抜けした。頼みごとをしたのは自分であるが、こうもあっさりであると調子が狂う。 「絵莉子ちゃん、アカペラサークルって言ってたよね。歌ったりはしないの?」 「あ、うん! もちろん! 野外ライブがあるんだ」 「それも時間教えてくれたら見に行くよ」 「ほんとに!? 嬉しい! ありがとう!」 絵莉子は小躍りした。そんな絵莉子を見て、薫は「そんなに喜ばなくても」と微笑んだ。 しかし、その約束は実現されない事になる。
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