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(ど、どうしよう…とりあえず会話を…) 「寮生活って始めてだからなんか緊張しちゃうよね」 「そうだね」 返事をしながら、薫は部屋に届いていた段ボールを開け、荷解きを始める。 「あ、薫ちゃんのところもお母さん来てないんだね、私のところもそうなんだけど」 「そうなんだ」 (会話が…続かないっ…! 私が一方的に話しかけまくってる気がする…!) 内心冷や汗を流す絵莉子の方を見向きもせず、薫は荷解きを続けている。 その後もその様な調子で、会話とも言えない言葉のやり取りを続けていたが、不意に薫が絵莉子の方に向き直った。 「ベッド」 「え、ベッド?」 「二段ベッド、私が下でもいい? 」 「あ、うん、どっちでもいいよ」 「お風呂とかの掃除もした方がいいかなって思ったけど、さっき見たらきれいだったから大丈夫よね、それじゃ」 そう言うと、薫は返事を待たずに部屋を出て行ってしまった。 (なんというか…すごくマイペースな人だな) 日用品などを買い揃え、夕食を摂った後部屋に戻ると、薫も部屋に戻ってきており、椅子に座って本を読んでいた。 「ただいま」 「おかえり。シャワー先に使っちゃった、ごめんね」 「全然いいよ、私もこれからお風呂入ろうかな」 (薫ちゃん、そういうところにはちゃんと気を使うんだ。ベッド決める時も一応確認はされたし…当たり前といったら当たり前なんだけど。ただの自由人…ってわけじゃないのかも) 「そう、私は先に寝るけど気にしないで」 「あ、ありがと」 (そこはマイペースなんだなぁ) 絵莉子が浴室から出ると、薫のベッドに付いてあるカーテンはすでに引かれていた。 (ホントに寝ちゃったんだ、寝る前にちょっとお話…って流れにはならないんだね) 絵莉子はベッドで横になりながら、その日の事を思い返していた。 (思ったより誰とも会話のない1日になっちゃった、まあまだ入寮日だし、そんなものかな… それにしても、薫ちゃんに避けられてる気がするのは気のせいかな…何か嫌われるようなことをするほど、薫ちゃんともかかわっていないし… まあ、人見知りなだけかも知れないし、心配しすぎても仕方ないよね。それに… 薫ちゃんにも他の女の子にも恋さえしなければ、これからの寮生活はきっと大丈夫なはず)
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