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薫と話そう。そう決意したものの、絵莉子と薫の生活リズムはあまりに違いすぎたため、なかなか薫を捕まえることはできなかった。もっとも、薫がわざとタイミングをずらしているというのもあるかも知れないが。 しかし、絵莉子は薫と遭遇できそうな時間帯を狙い、部屋で待ち伏せをした。 待ち伏せの末ようやくドアが開き、薫が入ってきたとき、絵莉子の心拍数は跳ね上がり、冷や汗が滲み出た。 「おかえり」 「ただいま」 薫は絵莉子の横を素通りしようとした。 「あ、あのね薫ちゃん」 薫は絵莉子の横を素通りしようとしたが、絵莉子の呼び止める声に足を止めた。そして、何も言わず絵莉子の方を見た。覚悟を決めていたはずであるのに、薫の視線を浴びると絵莉子の決意は揺らぐ。 「その…薫ちゃんに…話したいことがあって…」 「この間風呂場で見たこと?」 薫に、躊躇いもないはっきりした口調で問われる。絵莉子は何も言えなかった。 (どうしよう…私のことを話そうって決めてたけど…でも薫ちゃんのことは知りたいし…) 絵莉子が考え込んでいる途中に、薫は言葉を続けた。 「いきなりあんなの見せちゃったけど、絵莉子ちゃんは多分何で私の体がそうなのか、よく分かってなかったよね。 真性半陰陽って…知ってる?」
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