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絵莉子は起き上がって話そうと思ったが、薫に制されたため、寝たままで傍に座る薫を見上げる形となった。 「おしゃべりしたいとは言ったものの、改まって何を話せばいいかわからないね」 絵莉子は照れ笑いを浮かべながら薫を見たが、薫は何か考え込む表情をした。 豆電球の薄明かりが2人をかすかに照らしている。 「私にはあるよ」 「え?」 「聞きたいことがある」 絵莉子は思わず薫の顔をじっと見た。薫が絵莉子に何かを聞いてくるのは珍しいことであった。 「聞きたいこと、って?」 「年末…かな、私が寝ている時に『また来年も会おう』って言ってくれた?」 絵莉子は顔が赤くなるのを感じた。眠っているとばかり思っていたが、まさか聞かれていたとは。 「うん、言ったよ」 絵莉子は冷静を装おうと努めた。 「どうして、そう言ってくれたの?」 またもや面と向かって聞かれ、今度こそ冷静ではいられなくなった。 とりあえず、恋愛感情は置いておいて、今言える限りのことを言おう。そう絵莉子は腹を決めた。 「私は、薫ちゃんがいなくなったら寂しいから…薫ちゃんのことをもっと知って、もっと仲良くなりたいって、そう思うから」
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