その4 {伊佐シンの葬儀}

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ワタシは今、喪服を着て蓋が半分開いた柩を覗いている スーツがなかったから彼は私服を着ている 眠るような顔で硬直してる彼…ああ…シン 彼のまわり飾り付けられた 色とりどりの花… 柩の蓋が閉じられ彼が埋葬されるのを見届る 如月ヴィオラ 「シン…」 女友達 「あんたさ…元気出しなよ… 伊佐くんはとてもいい人だったけど その…彼はもう、いないの…」 現実がつきつけられる 彼は…シンはもうこの世にいない… そう考えたとたんに また、涙が溢れてきた… 彼の柩に土がかけられ 上に石盤が置かれる… 彼の名前が墓石に刻まれた… シン…ワタシはその場に いられなくなって墓地のトイレに駆け込んだ 洗面所の鏡にうつるワタシの顔は くしゃくしゃで…目が腫れ 赤くなっていた… ひどい顔…こんな顔してたら天国の彼に 顔合わせができない… 深呼吸をして、水で顔を洗う なんとか一時落ち着いてきて ワタシは再び彼が眠る墓地に向かった そこには女友達と男友達しかいなかったけど… 石盤の上に正座したワタシはせっかく落ち着いたのに また泣き出してしまった… 嗚咽が漏れて…呼吸も苦しくなって だけどワタシの涙は止まらなくて どうしようもできないワタシは ただただ…泣く事しかできなかった……image=506651252.jpg
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