雪渓

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 何とか無事入り口の堰堤にたどり着き思い出す。 『あれ?あのおっさんは?』 『いや…知らんけど…』  俺も神山も急いで逃げて来た為、おっさんの事を忘れていた。  他に出口など無い筈なのに、おっさんはいつまで経っても来る様子は無い。 『…入渓ポイントが違ったかも知れんから、そこから登ったんじゃね?』  神山はそんな事を言うが… 『…ここ以外、何処に入渓ポイントあんだよ?』 『…』  前述したが、この川には既に林道すらない。  もしかしたら、俺達の知らない【登山道】はあるかも知れないが…どれだけ迂回して川に入ったと言うのか…  結局、翌日以降も、そのおっさんには二度と会う事は無かった。  死亡や行方不明のニュースも流れて来なかった為、無事だったのだとは思うが…
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