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エピローグ
『へ~!そんな事があったんすか!?』
今年は参加出来なかった宮嶋を誘い、いつものように撮った写真を肴に、3人で酒を飲んでいる。
『良いなぁ!俺も行きたかったなぁ!』
写真を見ながら、宮嶋はそんな風に言うが…
『冗談じゃないっつ~の。下手すりゃ、本当に死んでたわ。』
あのおっさんがいなければ、あの崩れる直前の雪渓を、強引に突破していたかも知れん。
結局、あの違和感の正体は、僅かに僅かに傾き始めている雪渓のせいで、後ろに見える風景が少しずつ変わっていた事だったのだから。
あのまま進んでいたら、下敷きになっていたか、下敷きは免れても、救急車も来れない川の最上流部に閉じ込められていた。
正に間一髪だ。
『きっと、去年のカモシカが危険を教えてくれたんですよ♪』
宮嶋は、そんな事を言い出して、去年のポケットアルバムの中の1枚の写真を指差した。
『ほら♪』
そう言う宮嶋の指の先には、助けたカモシカが…
『…はは♪笑ってるように見えるな♪』
‐完‐
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