雪渓

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『…何かあるんですか?』  そう言う俺に向かい、小さな声で口を開いた。 『…雪渓。危ないから戻った方が良い。』  おっさんにそう言われ上流を見ると、川の両側に高さは4~5mあるだろうか…  それは雪渓と言うより、巨大な氷塊がそそりたっていた。  川は見えているので、更に上流に行く事は可能そうだが… 『おお~…確かに…』  神山もおっさんの忠告に目を丸くしている。  確かに、ここまでの雪渓はあまり見ない。  どうやらおっさんもこの雪渓のせいで、これ以上進むのを躊躇しているようだった。  これ以上先に進めば、更に雪渓は残っているだろう。  それに、どのみち後300m程進めば、Uターン地点と決めている【魚止めの滝】がある。  俺達はおっさんの忠告に従う事にした。  数枚の写真を撮り、おっさんに礼を言い、引き返し始める。  が…何やら違和感が…  おっさんではない。  神山でもない。 『…何?』  立ち止まる俺に、神山がそう聞いてくるが… 『…いや…なんか違和感が…』 『違和感?何が?』 『いや…何だろ?』  自分でも解らない。  ただ、説明出来ない空気感と言うか…
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