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『…変な奴だな。良いから戻ろうぜ。』
神山にそう促され、再び川を下り始めるが、違和感が気になり、2度・3度と上流を振り向く。
その度に、得体の知れない違和感が襲ってくる。
『…何だよ!?』
なかなか進もうとしない俺に業を煮やした様子で神山が声を掛けてくる。
神山は何も感じていないようだ。
気のせいか?
そう思いつつ、4度目に振り向いた時だった。
違和感の正体が明らかになる。
『うお!神山!見ろ!』
咄嗟に神山にも声を掛けた。
『うわ!』
神山がそう声を出すのと同時に、川の両側にそそりたった氷塊が、【ゴゴゴ!】と音を出して崩れだした。
『うおー!!』
『洒落にならん!!』
巨大な氷塊は、そのまま川を塞ぐように完全に倒壊してしまう。
川の水が、一気に濁って行く。
『ヤバすぎる!あのまま進んでたら、死んでたかも知れん!』
確かにそうだが、まだ危機は過ぎ去っていない。
『そんな事言ってる場合か!逃げるんだよ!あの氷塊が川をせき止めたら、鉄砲水になるかも知れん!』
『あ!そうだ!』
驚く神山をそう促し、俺達は急いで川を下った。
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