204人が本棚に入れています
本棚に追加
フラワーショップのライトを見つめながら、純心っていったいなんなんだろう、と思った。
哲也と別れたのはいくらか前だけれど、もう何年も昔のことのような気がしてくる。
女のそういう想い出は上書きされていくものだってよく聞くけれど──そうは言ったって、賢治郎を哲也と同じに考えることなんて、できやしない。
記憶や感触は薄らいでいくかも知れないけど、やっぱり違う場所にあるはずだ。
ただ、思い出さないようにするだけで。
もしかしたら、男の人のほうが思い出すことをためらわないものなのかも知れない。
だから、はたからはフォルダ保存に見えてしまうのかも知れない。
.
最初のコメントを投稿しよう!