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出産や子育てや、子どもの権利や。考えることを増やしすぎて、どうして子どもを作るのかってことからあたしたちは目を背け続けているんじゃないだろうか。
本能や性欲任せにしていいことじゃ、きっとないはずなのに。
「賢治郎……」
「ん?」
「……今回だめでも、あたし、あなたの子ども欲しい……」
──それは、唯一の女である彼の妹では成し得ないこと。
あたしを見つめる賢治郎の菫色の瞳が、わずかに見開かれた。
「あんた、それ正気?」
「わりと……落ち着いて言ってるつもりだけど」
「……ますます情緒不安定を疑うね。その腹ん中、もういるんじゃないの」
「失礼ね」
また煙草の箱に伸ばしかけた自分の手に気づき、彼は舌打ちをした。
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