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あたしはこの質問を口にしていいかどうかと意識の外側で焦れていたのに、賢治郎にはもっと早くその用意があったらしい。
賢治郎の視線が、運転席のデジタル時計にちらりと走る。
「まだ、いいかな」
「え?」
「会わせろってのは、勘弁。でも、一方的に見るのはかまわない」
「……てっきり無理だって言われるかと思った」
「あんたは俺のことをまだわかっちゃいないな」
クッ、と喉の奥で低く笑う賢治郎。
「そんなこと言われたって、あなた、変に見透かされたりするの、大っ嫌いでしょ」
「どうしてそう思うんだ?」
「……プライド高そうだから」
「はは。違いない」
プライドが高いと言われて、朗らかに笑う人なんて珍しい。
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