第3章 試験

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あの手合せの結果からみたら、この決定は多少なりとも理不尽ではあると思う けれど、副長、土方歳三――――彼の選択だから、私は納得したんだ。 ぽつりと漏らした言葉に、二人は驚きで目を見張る。 「何だと?」 「……璃桜? おめぇ、何言って」 ぽかんとした二人の言葉に、かぶせるように言う。 「……………土方副長のこと信じてますから」 まぁ、その理由は未来からきて彼の絶妙な人選能力を知っているからなんだけれど。 それがなくても、と想像する。 もともと私がこの時代に居たとして、未来のことなど何もわからなかったとして。 例えそうであったとしても、何故だか歳三のことは信じると思った。 まだ、出逢って一日しかたっていないのに、如何して此処まで信じられるのか、自分でもわからない。 根拠も何もない、ただただ直感的な想いだけれど、ひどく心が己に訴えてきたから。 自分の気持ちを、信じようと思う。
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