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「…どうしたの」
「…………何でも、ねぇよ」
冷たく無表情でそっと瞳を伏せた歳三に、ぐ、と胸が掴まれた気がした。
その場に流れる沈黙に気圧され、俯いて黙っていれば、目の前に似合った濃紺の着流しが、ゆるりと動く。
「………俺、稽古みてくる。おめぇは戻ってくるまでこの部屋の掃除でもしてろ」
襖が閉まる寸前、投げつけられた言葉に、きゅっと唇を噛み締めた。
どうして、そんなに突き放すような物言いをするの。
優しいのか、冷たいのか、どちらかにして欲しいと思うのはよくばりだろうか。
そんな私でも、タン、と閉められた襖の向こうに、物憂げな表情の貴方がいるのが簡単に想像できてしまう。
何故だかは、わからないけれど。
その想像した貴方に、ひどく切なく心が音をたてた。
突き放されてしまったからには、とても追いかけることなど出来なくて、ゆるりと目線を下に落とす。
その視線に、未だ敷きっぱなしの布団が入った。
それを見て、寝ていた歳三の呟いた言葉を思い出す。
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