第3章 試験

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歴史上の人に、目の前で動かれると、何処かイメージしていた人物像と大きく異なっているから、どうしてもそう考えてしまう。 異なっていたことを思い出そうとすれば、すぐに浮かんでくる芹沢局長の瞳。 史実上では、かなりの暴君で手の付けられない人物像である場合が多い芹沢鴨。 彼があんな瞳をするなんて、誰が思っただろうか。 あの瞳の輝きを目にしてしまったんだもの、気にならないわけがない。 せっかく幕末にタイムスリップできたのだから。 ―――――――――もっと、知りたい。 彼らと共に、歴史を歩みたい。 そんな事を思ってしまうのは、未来人である私のエゴだろうか。 彼らのことを、最後まで見届けたいと思ってしまう。 けれど、その願いを持つ私の心には、正反対の想いもあって。 “見届けたい”なんて、何様だろうと思う目線の言葉が自分の中で出てくることが許せない。 いや。 ―――許したく、ない。
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