第3章 試験

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その時。 目を閉じたことで他の器官が敏感になったからだろうか、己に向けられているいくつかの視線を感じた。 それは、少しだけ開いた襖の外からのもので。 そ知らぬふりをしていれば、何やらぼそぼそと話し出す。 「璃桜のやつ、中にいるのか」 「いるみたいですよね、この平助の反応見てると」 「うるせぇ、ばれたらどうすんだ」 いや、ばれてるよ。 ………喧騒でしかない。 キミタチは、もうすぐ壬生浪士組の副長助勤になるんでしょうが。 こんなに気配ダダ漏れにしていたら、どんな敵にも見つかってしまう。 現に、私でも外に誰がいるのか分ってしまったくらい。 さっきとは違った面倒くささによるため息を一つついて、よっこらしょ、と立ち上がる。 「おい、璃桜はなにしてる?」 「ちょっと待ってください、平助、見えないからもっと前行ってよ」 「わ、馬鹿、総司押すな………わぁ!!」 スパーン。 案の定、勢いをつけて開いた扉の先には、
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