第3章 試験

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「何、してるんですか?」 春の木漏れ日踊る縁側に似合わず、団子になって。 ―――――左之さん、平ちゃん、そうちゃんがいた。 「え? あ、ええと、」 焦って言い訳をしようとする平ちゃんとは正反対に、 「ん?璃桜が何してるのか気になって、来てみただけだよ」 「土方さんに襲われてねぇかと心配したんだぜ」 内容はともかく、爽やかにサラリとかわす、言い訳に慣れた二人。 本当に器用だなぁとある意味感動した。 頭に浮かんだ“器用”と言う言葉に、最も器用な人物を思い出す。 それと同時に、さっきの伏せた瞳を思い出した。 その憂いを含んだ漆黒が、鮮明に浮かんできて。 「…………」 気が付けば、俯いていた。 「あー、もう何でもいいだろ! で、何で布団に横になってたんだよ、璃桜。具合でもわりぃのか」 そんな私に全くもって気が付かず、ただ言い訳を考えるのに疲れたのか、がしがしと己の頭を掻いて平ちゃんが尋ねてきた。
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