第3章 試験

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そんな美少女風平ちゃんを勝手に想像していれば、平ちゃんの言葉にばん、と背を叩いて左之さんが吠える。 「男は正直者でなんぼだぜ! かわいこちゃん降って来い!!」 いや、遊郭通いが趣味と言っても過言ではない貴方がそれを言うんですか。 いや、むしろそうだから言うのか。 けれど、今から数年後の彼を思い出して、ふふ、と笑みが零れた。 「大丈夫ですよ」 「何がだ?」 「かわいこちゃん、降って来ますから。きっと」 そう言えば、白い歯を見せて、にかっと大きな笑みをこぼす左之さん。 その笑みが、やっぱりとても綺麗だと思ってしまう。 そう、彼は、町娘と結婚する。 たしか、その名は――――まさ。 左之さんの、この大きな笑みに彼女も魅せられるのだろうか。 「おう! そうだよな、この左之様をほっておく女なんていねぇからな。ってぇことで、璃桜、俺なんてどうだ?」 ………色気たっぷりのいい男、左之さんの欠点は、これだけだから。
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