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きょとんと首を傾げて三人を見れば、何故だか彼らも同じように此方を見ていた。
何か変なことでも言ったのだろうか。
そう思っていれば、そうちゃんがため息交じりに口を開く。
「璃桜、怪我してないかなぁと思って」
「怪我?」
「うん。俺、強い人と手合せになると止まらなくなっちゃうから。怪我させてたら如何しようって思って」
―――――不安に、なった。
その言葉にはっと目を見張れば、そうちゃんの申し訳なさそうな、伏せられた瞳が見えた。
「大丈夫。怪我なんて全然してないって言ったじゃない」
稽古場での返答と同じことを言えば、瞳を長い睫に伏せたまま、そうちゃんは言葉を紡ぐ。
「そうなんだけどさ、気になって。璃桜、隊士に成りたがってたし、この結果に落ち込んでるかなって」
その言葉に、驚いた。
私のことなど、彼にはやっぱりお見通しらしい。
落ち込んでいる原因は違ったけれど、落ち込んでいることは予想されてしまったみたい。
「大丈夫だよ、歳三の決定だから、このまま小姓になるって決めたし」
むしろ、決定よりもその後の彼の言動に、何故かひっかかっているんだけれど。
そんな事は、流石に言えない。
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