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「あ、璃桜さん」
「源さん。こんにちは」
通りかかった源さんが、私がいると気付くと、笑って声をかけてくれたのだ。
「やっぱり此処だったんだね。歳さんの部屋に来てみて正解だった」
その言葉から考えると、私を探していたみたいだけれど。
用件を聞こうとすれば、丁度私の肩に頭と腕を載せた、にこにこ顔のそうちゃんに先を越された。
「あ、源さん! 今日の昼餉は何ですかー?」
「今から考えるところだよ」
「え、じゃあ、俺の好物で!」
わくわくと目を輝かせるそうちゃんに、昔となにも変わんないと、そう思う。
てゆーか、いい加減。
「重いよ」
ぶんぶんと体を振って肩から落とした、白いけれど筋肉質の腕を見ながら、思ったことを口に出す。
「そうちゃんって、小さいころから食べること好きだよね」
「璃桜だってそうじゃん、俺のおやつ奪ってたくせに」
「いや、絶対そうちゃんの方がおやつ多かったよ」
まぁ、それが不満で彼の目を盗んではそうちゃんの分も食べていたんだけど。
「ところで源さん、璃桜に用があんのか?」
左之さんの言葉に、源さんはそうだったと思い出したように頭を掻いた。
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