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「璃桜さん、歳さんは見かけよりもずっと不器用なんだよ」
「……へ?」
何を言い出したのかと思って源さんの方を向けば、何処か遠い所を見るように顔を真っ直ぐ前に向けていた。
「それはもう、本当に。総司や原田くんの方が、よっぽど器用だよ」
「嘘……」
あの器用人間が?
後々鬼の副長ともいわれる人が?
「勿論、彼が振るう采配は、全くもってこの壬生浪士組の誰も勝てないだろうね。けれど、こと人間関係に関しては、本当に不器用なんだ」
「……そう、なんですか」
試衛館時代の、歳三のことだろうか。
源さんが、いつの歳三を見てるのか分らないけれど。
そんなの。
…………理解できない、とそう思ってしまった。
「台所が遠いのが何とかなれば、八木邸は最高の居場所だと思うよ」
その言葉にはっと我に返れば、もう、台所の敷居を跨いでいた。
「よし、じゃあ、璃桜さん、昼餉の準備を頼むよ。まずは、一緒にやって、どんどん覚えていって欲しい」
「え、あ、はい」
そう言って私に桶を手渡す源さんに、意図せずともそれを受け取っていた。
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