プロローグ ~栄冠~

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御友はこれを狙い澄ましたかのようにフルスイング。打球はライト線を破りボールが転々とする間に御友は3塁に到達。山科はがっくりと肩を落とし悔しそうな表情を浮かべる。 「ドンマイ!ドンマイ!1点はしょうがない!頑張れ!」  声をかけたのはショートの緒神憲吾(おがみ けんご)とキャッチャーの藤堂ハジメ(とうどう はじめ)2人とも満面の笑顔を浮かべているのが救いだ。どうしてこうもプラス思考なやつばかりなんだろう。山科は極度のマイナス思考。ピッチャーはイケイケのプラス思考。キャッチャーは常にマイナス思考。プラスとマイナスだからバッテリーと呼ばれる。と昔読んだ漫画に書いてあった。やれる。まだオレはやれる。ここで1点を許しても裏の攻撃が残されている限り勝つ可能性はゼロにはならない。あと3人抑えて最後の攻撃に望みをかけたい。続くバッターは4番の猪ノ口海斗(いのぐち かいと)小学生とは思えない大きな身体で右バッターボックスに入る。山科は3塁ランナーを一瞥し、猪ノ口に対して第1球を投じる。失投・・・!ど真ん中に入ってきたボールを見逃さずフルスイング。打球は三遊間に火の出るような当たり。しかしこれをやや三塁側に守っていた緒神がこれを横っ飛びでキャッチ。
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