プロローグ ~栄冠~

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一塁へ送球、アウト。しかしこの間に三塁ランナーホームイン。4ー3とリトル浪速勝ち越し、緒神の美技と相まって両チーム応援席はさらにボルテージが上がる。会場は異様な雰囲気に包まれる。5番の正田光樹(しょうだ こうき)が大声援に迎えられ2、3度スイングをしてから右バッターボックスへ。疲れの見え始めている山科の額には大量の汗が流れる。 「しんちゃん!あと2人!ガンバ!」  先ほど大ファインプレーを見せた端整な顔立ちでキリッとした目つきの緒神が声をかけ山科を鼓舞する。 「しん!ふんばれ!」  ファーストを守る市倉舷(いちくら げん)ゴリラを人間にしたような大柄な男が続いて叫ぶ。山科は小さくうなずくと藤堂の構えるキャッチャーミットめがけて全力で腕を振った。インサイドに見事な直球が決まり正田のバットは空を切る。第2球目は高めに外れてボール。カウントはワンボールワンストライク。第3球目を正田は右方向へ流し打ち。いい当たりだがセカンド正面。セカンドライナーでツーアウト。
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