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打席には6番の大八木倫太(おおやぎ りんた)が左バッターボックスへ。山科汗を拭い藤堂のサインを見る。初球は緩いスローボールを投じ、大八木見送ってストライク。
「オッケー!ナイスボー!」
藤堂はボールを返すと同時に山科に声をかけた。第2球めはインサイド低めに決まる直球でカウントツーストライクと追い込み、1ボールの後見事空振りの三振に抑える。
「ナイピー!」
梁汰ナインは意気揚々とベンチに引き上げてくる。
「たった1点差!いけるいける!絶対逆転出来るよ!」
声をかけたのはキャプテンの田仲竜吾(たなか りゅうご)心臓に病を抱え、激しい運動が出来ないでいるが、大好きな野球を大好きなチームで1番間近で応援したいとベンチ入りを熱望し今ここにいる。本当はグランドで精一杯プレイがしたい。全力でボールを追いかけたい。その思いを声援に変え、梁汰ナインを勇気づけ、何度も逆転劇を見せここまで勝ち上がってきたのは彼がいたからと言っても過言ではない。
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