本文

1/8
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ

本文

 これより音声記録を開始する。  私は第二次救助隊のメンバーである。  我々は今、南極点付近に設置した基地にいる。  基地との連絡が途絶えて、すでに半年が経過している。先行した第一次救助隊との連絡は一切取れていない。  猛吹雪のせいで飛べず、今になってようやく来られた。  皆、生きていると願いたい。  食料の貯蓄は充分にあるだろうから、その点は心配していないが……一体、なにが起きたというのか。  外に通じる扉が全開になっていた。猛吹雪のせいか、壊れてしまっている。  そばには凍りついた死体が横たわっていた。服装から、第一次救助隊の一人だと思われる。まるで扉を開け放つようにして倒れていた。  やはり、なにかトラブルが起きたようだ。  錯乱でもしたのか?  まさか、自殺か……?  基地内は外気温とほぼ同じ状態で、ひどい有り様だ。あちらこちらに死体が横たわっている。無論、凍った死体だ。  ざっと見た限り、基地に元々いたメンバーに、第一次救助隊のメンバー。ほぼ全員が死んでいる。死因は凍死かと思われたが、一部違う。銃で撃たれた痕がある。壁にも無数の穴が開いている。  殺し合いでもしたらしいが、何故だ……?     
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!