1,私の日常

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私の知っている日向慧とは程遠い彼だが、以前の彼が言うとは思えないセリフを言うと、やはり全部は信用できない。 「一週間もしない内に、もう話せなくなるって考えるとなんか寂しい感じがするな」 「あ、そっか…。私、あと六日したら退院するし」 「だから、なんか寂しい」 日向の口から寂しいだなんて言葉が聞けるとは思うこともなかったが、話せなくなるということに私は焦りだす。 (日向に嘘ついたまんまじゃんか。学校で会ったらなんて言い訳しよう) 「だから、今を楽しむことにするよ、俺は」 「そうだね………」 どうしたらいいのだろうか。 だんだんと嘘が膨らんでいっている気がする。 ……そういえば、日向は何日間ここに入院するのだろう。 階段から突き落とされて、記憶を無くすというとは、頭を強くぶつけたに違い。証拠に、日向は頭に包帯を巻いている。 私は、さりげなく聞くことにした。 「日向君は、何日間ここに入院するの?」 「俺?あー、あと二週間とか先生言ってたかな。そんなに長い間こんな所にいるって考えるだけでも憂鬱になってきた」 頭を抱える彼は、ここによっぽどいたくないのか失望したような顔をした。
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