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「坂本さん、次はこれをお願いします」
「了解しました、先輩」
差し出された書類を受け取りながら俺がそう返すと、書類を渡した彼女は固まる。
「坂本さん……その先輩って言うの、いい加減止めて貰えますか?」
そして不機嫌そうに口を尖らせる。
「だって事実ですから」
「でも私の方が年下ですし!それに坂本さんの方が私より全然仕事出来ますし!」
「そんなことないですよ」
彼女は朝香優花。
俺より一つ下の今年で二十四歳。
約一年前に主に屋外、屋内の広告デザインを作製するこの職場にやって来た俺の隣の席だったのが彼女。
仕事でわからないことを嫌な顔一つせず丁寧に教えてくれた。
背は低めで小柄だが、仕事に関しての責任感が身体に似合わず物凄く強い女性だ。
「あ!忘れてた!あっちの企画書もやらないと!」
でも少しそそっかしいのが玉に瑕。
「朝香ちゃんって頼りになるんだか、そそっかしいんだか、わかんないな」
俺の向かいに座っている主任の長谷部さんが言った。
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