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半眼でドスの利いた声を出すと、成留の頬がひきつった。
「いや、その……、先輩が起きないから、王子様のキスで起こそうかなと思ったんです」
「王子様のキスで起きるのは、お姫様だろうが。こんなガタイがよくてムサい姫が、どこにいるってんだよ」
「俺にとっては、最高にかわいいお姫様ですよ」
「ぬかせ」
鼻を鳴らして退けとばかりに成留の肩を押した奏は、乳首をひねられ悲鳴を上げた。
「ひぁっ!」
そのまま乳首をこねられて、奏は成留にしがみつく。
「すごく、かわいいです。――先輩」
もう名前では呼んでくれないのかと、奏はがっかりした。そんな奏に気づくことなく、成留は乳首をもてあそび、奏の首にキスをした。
「先輩……、しがみついてくれるのはうれしいんですけど、ちょっと腕をゆるめてくれません? 先輩の、しゃぶりたいんで」
「しゃぶ……っ?!」
「先輩、いつも俺のはしてくれるけど、俺にはさせてくんないでしょう? 俺だって、先輩を気持ちよくさせて飲みたいんですよ」
カァッと体を熱くして、奏は思い切り成留を突き飛ばした。
「わっ、ちょっ……」
起き上がった奏は成留を蹴り飛ばして、大股で部屋を出ていく。
「うええ、先輩? なんで怒ったんですか。ねえ、ちょっと……、先輩ってば」
飛び起きた成留は背後から奏に抱きついた。
「ええい、離れろっ」
「イヤですよ。なんで急に怒ったんですか」
「寝込みを襲われて、怒らねぇ奴がいるってのか」
「それは……。だって俺たち、恋人同士でしょう? 寝覚めのキスとか普通じゃないですか」
「キスだけじゃなかっただろうが」
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