6/7
前へ
/65ページ
次へ
 半眼でドスの利いた声を出すと、成留の頬がひきつった。 「いや、その……、先輩が起きないから、王子様のキスで起こそうかなと思ったんです」 「王子様のキスで起きるのは、お姫様だろうが。こんなガタイがよくてムサい姫が、どこにいるってんだよ」 「俺にとっては、最高にかわいいお姫様ですよ」 「ぬかせ」  鼻を鳴らして退けとばかりに成留の肩を押した奏は、乳首をひねられ悲鳴を上げた。 「ひぁっ!」  そのまま乳首をこねられて、奏は成留にしがみつく。 「すごく、かわいいです。――先輩」  もう名前では呼んでくれないのかと、奏はがっかりした。そんな奏に気づくことなく、成留は乳首をもてあそび、奏の首にキスをした。 「先輩……、しがみついてくれるのはうれしいんですけど、ちょっと腕をゆるめてくれません? 先輩の、しゃぶりたいんで」 「しゃぶ……っ?!」 「先輩、いつも俺のはしてくれるけど、俺にはさせてくんないでしょう? 俺だって、先輩を気持ちよくさせて飲みたいんですよ」  カァッと体を熱くして、奏は思い切り成留を突き飛ばした。 「わっ、ちょっ……」  起き上がった奏は成留を蹴り飛ばして、大股で部屋を出ていく。 「うええ、先輩? なんで怒ったんですか。ねえ、ちょっと……、先輩ってば」  飛び起きた成留は背後から奏に抱きついた。 「ええい、離れろっ」 「イヤですよ。なんで急に怒ったんですか」 「寝込みを襲われて、怒らねぇ奴がいるってのか」 「それは……。だって俺たち、恋人同士でしょう? 寝覚めのキスとか普通じゃないですか」 「キスだけじゃなかっただろうが」
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

631人が本棚に入れています
本棚に追加