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そう言いながらも、奏はまんざらでもない顔をしていた。
「先輩ぃ」
成留は奏の胸の尖りに指をかけ、首筋に吸いついた。
「おわっ……。おいこら、成留! サカんな」
「先輩がそんな恰好してんのが、悪いんでしょう」
成留の指が奏の乳首をつまみ、転がしはじめる。首筋を舌でくすぐられて、奏は息を詰めた。
「っ、そんなって……、べつに妙な格好なんてしてねぇ、……こらバカやめろ」
「あおった先輩のせいです」
「あおってねぇっつってんだろ。おらっ」
成留の手首を掴んで引きはがすと、尻の谷に硬いものを押しつけられた。
「いい加減にしろっ」
奏が振り向くと、成留が「ちぇー」っと恨みがましい目で唇を尖らせた。ふくらんだ頬が丸顔を余計に丸く見せて、二十六という年齢よりもずっと幼く感じられる。ドキンと胸が高鳴ったのを苦笑でごまかし、奏は成留に弁当を突きつけた。
「おら。弁当」
「ちょっとぐらい、いいじゃないですかぁ」
「朝からバカなこと言ってねぇで、とっとと飯を食って仕事に行け」
「先輩って、そういう恰好するくせにガード硬いですよね」
「おまえの感覚が妙なんだ」
成留はジトッとした目で奏を見上げた。身長はそれほど変わりないのに、自分よりもずっと大きく見えるのは大人びた顔立ちと雰囲気が原因だろうかと考える。
(実際、俺より六歳年上だけどさ)
いつも実年齢より幼く見られる成留には、年相応かそれよりも上に見られる奏の落ち着きは羨望の対象だ。
(その上、包容力があって世話好きでエロいとか最高だよなぁ)
「なんだよ、ジッと見て」
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