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「大変だ。先生、もう寝ないと」
陸や海たちは日曜で休みだが、神崎は部活動があると言っていた。
「あー……、忘れてた」
神崎は陸から離れると、面倒くさそうに呟きごろんと横になった。
「何時に起きますか?朝ごはんは何時ごろ食べますか?」
急に所帯染みたことを言いだした陸に、神崎は複雑な顔をする。
「お前、切り替え早いな」
「大事なことです。先生を遅刻させるわけにはいきません」
妙な使命感に駆られる陸に、神崎はますます複雑な顔をして、息を吐いた。
「なんだこの、尻に敷かれそうな嫌な予感。一年前はもうちょっと可愛かったのに」
駄目出しを食らったようでショックを受ける。初めて身体を繋げた日なのに、ムードもなにもなかったかもしれない。いや、しかし、大事なことだ。自分のせいで神崎の仕事に支障があってはならない。だがそもそも、陸なんかが心配しなくても、なんだかんだ言いつつ神崎は仕事はきっちりこなすはずでーー。
「……前の方がよかったですか?」
少し落ちこんで問いかけた陸の唇に、神崎は軽く口づけた。
「どっちもいいよ」
ホッと安心した陸の隣で、神崎は大きなあくびをした。
「なんか、眠くなってきた。寝るか」
「はい!」
元気に返事をした陸を、神崎は抱き寄せる。神崎の腕の中、陸は幸せを噛み締めながら眠りについた。
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