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「運んでいい?」
「うん、お願い」
陸が頷くと、海(ウミ)はお皿を大事そうに両手で抱え、とことことリビングに向かっていく。小さな背中を見守っていると、たまらなく胸がキュンキュンとなり、口がだらしなくにやけていく。
「かわいいなぁ」
朝から天使に癒され、溢れる気持ちを息で吐きだす。
「海」
キッチンから呼びかけると、ダイニングテーブルにお皿を置いた海が、なに?と首をかしげた。
「父さん起こしてきてくれる?もう朝ごはんできるから」
こくりと頷いた海がリビングから出ていくのを見送り、陸は最後の仕上げに入る。お茶碗にほかほかのご飯を装い、ワカメと豆腐の味噌汁も用意する。テーブルに並べ終わり、よし、とエプロンを脱いだところで、リビングの扉が開いた。
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