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我といふ者
俺には名前はない。
生きてるのか死んでるのか…
それすらわからない。
記憶がないのではない…と思う。
なぜ、生きてるのか、死んでるのかわからないのか、
それは俺の特殊な特技によるものだ。
それは、妖、死人、いわゆる幽霊が見え話せ、触れる。
これだけなら俗にいう霊感という程度のものだが…
与えられた指名なのか…なんなのかわからない。
成仏できぬ霊、それを成仏させることもできる。
それだけではない。死人を蘇らせることすらできるのだ。
しかし蘇らせられる者は限られた者だけなのだ。
寿命で死んだ者、病気で死んだもの、死ぬべくして死んだ者、自ら命を絶った者、
これを生き返すことはできないのだ。
生き返らせることができるのは
そこで死ぬ予定なく、事故で死んだ者。
これはほんとにごく稀だ。
そして他者により故意に殺された者。
いわゆる殺人で死んだ者だ。
これは俺が初めて人を生き返らせ、そして天に召した時の御話。
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