我といふ者

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その日俺が見えてる、羽が生えた人間、化ける狐が人間でないと気づいたその日。とある花壇ですすり泣く老婆に出会った。 俺はそれが生きてるものなのか、死んでいるものなのか、それすらわからず。知識はあれど、どこで覚えたものなのかすらわからないでいた。 しかし、その老婆には声をかけなくてはいけない。という感情が脳をしめ、声をかけてみた。 我「おばあさん、なぜ泣いているんだ?悲しいのか?痛いのか?」 おばあさん「あぁ…お兄さん…あなたは私が見えるのね…」 我「あぁ。見えている。おばあさんが見えない人なんているのかい?」 おばあさん「わたしはね…もう死んでいるのよ…そう…死んでいるの…」 おばあさんは自分が死んでいることを確認するかのように2回死んでいると、そうつぶやいた。 我「死んだら、他のものには見えぬのか?」 おばあさん「そうだよ…どれくらいここで涙を流したかわからないわ、それくらいずっとここにいるけれど…話しかけてくれたのはお兄さん、あなたが初めてなのよ…」 我「そうか…では、あそこで飛んでいる羽の生えた人間や、化ける狐も他の人には見えないのか?」     
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