我といふ者

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おばあさん「そうね…普通は見えないわ…あれは妖。人に化ける狐様はとても皇貴なのよ。人に化けたらその姿を見せたり、見せなかったり…そんなことができると聞いたわね」 我「そうか…」 俺は少し納得した。 体にまとわりついていたり、おぶっていたり、1人の人間の中に2人の気配を感じたり…なぜみんな気づかないのか、不思議でしょうがなかったが…見えていないのか… 我「それより、おばあさんは何で泣いていたんだい?」 おばあさん「わたしはね…天国へ行けず、地獄に行くはずだったの…でもね地獄へも行けず気づいたら1人ここにいて…孫にね…会いたいのよ…でもここから動くこともできないの…悲しくて辛くて、寂しくて…そして恨めしいの。」 我「孫を連れてくれば泣かずにすむのか?」 おばあさん「天国へ行けなかった私が孫に会うことはもうできないのよ…」 我「孫は死んだのか?天国にいるのか?」 おばあさん「孫はね…私が死ぬもっと前にね、殺されて死んでしまったの…犯人が恨めしくて、恨めしくて。強い恨みを抱えたまま私は天に行く道のりで全てを捨てて召されるはずだったの…でもね恨みが強く根付いて捨てきれず天国へは行けず地獄へ向かっていたはずだったのよ。でもね、天国にいけば孫に会えると思っていたのに…孫に会えないと分かって…更に恨みが増して増して…気づいたらここに1人だったの…」     
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