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トントントンとリズムよく包丁がまな板に当たる音が聞こえ、グツグツとお鍋が音を立てて煮えている。
お兄さんが動く度、黒いエプロンの後ろで蝶々結びされた紐が尻尾みたいに揺れていた。
ああ、こうして料理している人の後ろ姿を見るのはいつぶりだろうか。
そう考えると、喉の奥がきゅっとしまってまた目頭が熱くなった。
ジュワッと何かを炒める音がして、なんだか懐かしい匂いがした。
包み込むような優しい匂いだ。
そっと目を閉じて包丁の音、お鍋の音、炒め物の音に耳を傾けた。
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