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黒いストレートマッシュの髪に、優しそうな瞳の下には涙袋があって、鼻筋の通った、端正な顔立ちというよりは可愛らしい顔立ちの青年だった。
「具合、悪いん?大丈夫?」
彼は困ったように眉が下げて、小首を傾げた。
買い物袋をかさかさ揺らしながら私の前まで歩み寄ってきた。
足元に倒れていた牛乳パックに気がついたその人は、それを拾って土を払うと袋に丁寧に詰め直して、私の膝の上に置いた。
「親御さん、心配してへん?」
続けざまにそう尋ねられ、喉の奥がきゅっと締まり目頭が熱くなった。
何も答えずただ俯く私に困ったように頭をかいたその人は、どないしよと独り言ちる。
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