【番外編】思い出風味、キャベツのお漬物

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「僕が何やて?」 ぽん、と肩に手が乗せられて振り返る。 買い物袋を手に提げて、不思議そうに首を傾げたハルさんがそこに立っていた。 「あらハルちゃん。ちょうど良かったわ、依ちゃんの自転車押したって」 嬉しそうに頬を崩した富子さんが私の自転車を指さす。 自転車?と首を傾げたハルさんは、荷台にくくりつけられた段ボールを見て納得したように頷いた。 「リスボンに、キャベツをおすそ分けして下さったんです」 「ほんまに?富子さん、ありがとうね」 嬉しそうに段ボールの中身を覗いたハルさんは、嬉々として自転車のハンドルを持つ。 そして、ふと思い出したように口を開いた。 「良かったらこのキャベツで何か作るで」 あら、と胸の前で手を合わせた富子さんは嬉しそうに笑う。 「でも最近、季節の変わり目のせいか、食欲ないんよねぇ……」 「ほな、そんな富子さんでも食べれるあっさりしたやつ作って待っとくわなぁ」 「そらありがたいわ、おおきにね」 そんな約束をかわし、私たちはジュエリーを後にした。
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