1. 鳥と空と太陽

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 良かった。  携帯が壊れたのかと思った。  汗ばんだ手でスマホを握り締めるも、こんな状況で携帯が壊れることを心配する自分が「冷静」とは程遠いような気がしていた。    私――――寝てる?    まず思いついたのはそれだった。    夢だとしか思えない。    実習にレポート、バイトに追われて万年寝不足。  しかも自分らしくもなく、校舎の階段を駆け上がってしまったのだ。  教室に着いた途端、尋常じゃない眠気に襲われても不思議じゃなかった。    ――――というかそれしかない。    それしか説明がつかなかったのだ。    起動画面に意識を集中させる。    周囲を見渡すのが怖かった。    夢にしては乾いた風も、ギラギラと焼ける大地もリアルに肌で感じた。  スマホを食い入るように見つめてはいるものの、そのスマホの向こう側に、教室にあるツルツルの大理石調の床材ではなく、赤茶けた泥がチラついていることに気付かないふりをした。    ――――たぶん夢だから。  マリカに電話して、話せば落ち着くはず。  夢の中で・・・・・・起こしてもらうのよ。    そんな素っ頓狂な事を考えていた。    
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