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とりあえず立ち上がると、それらの進路から外れるように歩き出した。
もう一度それらの方を見ると、馬の上には人が乗っていることがよくわかった。その人たちの進路からずれるように傾いた太陽とは逆に歩いた。
しかし、よく考えれば手を振って助けを求めた方がいいのかも?
真逆の考えがユキの頭をよぎった。
夢だとは思う。
でも一人ぼっちでこんな荒野にはいたくない。馬たちの進路上に戻ろうか?
考えた瞬間ふいに心がざわついた。
馬たちの進路が自分の方へと変わっている。人に会いたいと思った心がなぜかスッと冷めて行くのを感じた。
なんだか怖い。
馬上の人々が黒い衣を身に纏っていることが、もうここからでもよく見えた。
その風体は道に迷っても――――そこが荒野ではなく街中だったとしても、とうてい尋ねる気も起きない荒々しい人間のようにユキには見えた。
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