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何だかよくわからないけれど、逃げたほうがいい。
ユキは馬たちに背を向けて荒野を走り出した。
土は乾き、緑のくすんだ草が茂っている。
砂のように乾いた土が舞い上がった。
ユキはピンクのハイカットスニーカーを履いていた。
いつもはパンツスタイルが好きで、それに女の子らしいパンプスを合わせるのを好んでいた。
――――今朝は秋雨だった。
まだ真夏のような日差しを持つ九月の終わり。
曇り空はありがたかったけれど、雨は嫌いだった。
雨の日にヒールの靴で歩くとツルツルの床材をもつ校舎のエントランスで滑りかけたことがあったのだ。
だから今日は黒いシフォンのスカートに安定感のあるスニーカーを履いていたのだ。
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